#13 関節リウマチについて
【穂苅整形外科リウマチクリニック 穂苅 行貴】
一昔前は、リウマチというと身体のあちこちが痛くなる疾患を総称して呼んでいたようですが、現在はリウマチというと関節リウマチ(以下RA)を指します。診断基準は最近EULARの基準(正確には分類基準)を用いることが多いようですが、これも万全ではなく批判的意見も多いようです。基準による判定で陰性だが疑わしい時はMRI検査や超音波検査を行うようになっています。
他科の先生でヘバーデン結節(DIP関節の変形性関節症)やブシャール結節(PIP関節の変形性関節症)をRAと診断していることもままあるようですが、RAの腫脹は触って柔らかな腫脹です。
治療は抗リウマチ剤を用います。日本では最初はSASP(サラゾスルファピリジン)やブシラミンを用いることが多いようです。最近イグラチモドが発売されましたが、ワーファリン投与中の患者への投与死亡例のため、ワーファリン投与中の患者さんへの投与は禁忌になりました。タクロリムスを用いる患者さんもいますが、他剤を用いられないような場合の限定した使い方です。当初から活動性の高い患者さんには最初からMTX(メトトレキサート)の投与も認められていますが、投与前に肝炎チェックが必須となっています。MTXはRA治療のアンカードラッグといわれています。
欧米では日本と異なり最初からMTXを用います。MTXで効果が十分得られないときは、このMTXとSASP、ブシラミン、イグラチモド、タクロリムスのいずれかとの併用か、場合によっては生物学的製剤を用います。MTXが合併症などで使用できないときは生物学的製剤単独投与療法をおこなったりします。当院でも肺合併症のある患者さんに対してエタネルセプト(ETN)の単独投与をおこなっています。当院では現在発売中の生物学的製剤すべて使用していますが、患者さんの生活様式、年齢など考慮して薬剤選択をおこなっています。どうしても半減期の短い薬剤を使用(例えばETN)しがちになりますが、合併症の頻度はいずれの薬剤も差はないようです。生物学的製剤の問題は値段が高いということです。
最近は、生物学的製剤を用いることで完全寛解を目指すようになっています。
一剤で効果がみられなければ他剤にスイッチングして寛解を目指します。効果判定の一つの目安は3ヶ月といわれています。効果判定にはDAS-28、CDAI、SDAI、Total Sharp Scoreなど用います。
RAの治療は、MTXと生物学的製剤出現によって画期的に変化したといわれています。
穂苅整形外科リウマチクリニック 穂苅 行貴