診療ノート|塩筑医師会

#37 疥癬(かいせん)について

【清水外科胃腸科医院 清水 晶子】

北里大学特別栄誉教授である大村智先生が、2015年のノーベル生理学・医学賞を受賞されましたのは大変喜ばしいニュースでした。
大村先生の開発したイベルメクチンは、アフリカや中南米の線虫症に苦しむ人たちを救った偉大な発見ですが、実はこの薬、日本でも恩恵を受けています。
ペットのフィラリア症もそうですが、疥癬という病気の治療にも役立っています。今回は疥癬について触れてみます。

疥癬は、皮膚に<ヒゼンダニ>という虫が寄生して起こる、激しいかゆみを伴う皮膚病です。布団やじゅうたんに生息するダニとはちがいます。
人から人へ感染するため病院や施設内で大発生することがあります。

虫は0.2~0.4㎜の大きさで肉眼では見えません。
卵は皮膚の中で2.3日でふ化します。幼虫は脱皮しながら10日ほどで成虫になり、交尾のあとメスが角質の中をトンネルを掘ってもぐり、毎日2~4個の卵を産みます。ヒトの体を離れると数時間で死んでしまいます。



似たような種類のダニの中に、犬、猫のペットにつく疥癬(犬疥癬、猫疥癬)がありますが、これらの種は人の皮膚に寄生することはなく、ペットに接する人を刺すことによりかゆみ,皮疹が生じます。

[感染経路]疥癬にかかっている人に直接接触(介護、添い寝、等)することでうつります。このため家族内や、病院、宿泊施設内で感染します。感染してからかゆみが出るまで4~6週間かかります

[症状]腹部、外陰部や手(指の間)の赤く固いぶつぶつが徐々に増え、ひどいかゆみがあります。手には虫が掘り進んだトンネル(疥癬トンネル)がみられることがあります。
体力、免疫の弱っている人ではノルウエー疥癬といって全身が厚い痂疲に覆われることがあり、強い感染力があります。




[診断]顕微鏡およびダーモスコピーで皮膚から虫体や虫卵を検出することですが、困難な場合もあります。

[治療]以前は硫黄軟膏の外用や、γ―BHC含有外用剤の外用等でしたが現在ではイベルメクチン内服が主流になりました。

家族が疥癬と診断されたら
虫体は人から離れると数時間で死にますのでお部屋に掃除機をかければよいです。衣類の洗濯も普段通りでよいです。
患者さんに接した後は手を洗います。
同じ部屋に寝るのは避け、タオルの共用も避けましょう。

清水外科胃腸科医院 清水 晶子

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