診療ノート

#54  手根管症候群 

手根管症候群は、手の親指から薬指の半分にかけてしびれや痛みを生じる病気です。このしびれや痛みは、夜間や明け方に強くなり、手を振ったり、指を曲げ伸ばしたりすると楽になります。ひどくなると親指の付け根の筋肉がやせて、親指と人差し指できれいな丸ができなくなり、細かいものがつまめなくなります。

原因 

手首には、手根管というトンネルがあり、その中に正中神経が通っています。そのトンネルが何らかの理由で狭くなると正中神経が圧迫され、しびれや痛みを生じます。妊娠・出産期や更年期の女性に多く、女性のホルモンの乱れによるむくみが原因と考えられています。また、使いすぎの腱鞘炎やケガによるむくみ、出来物なども同様に正中神経が圧迫されて手根管症候群を発症します。 

診断 

手首のところをたたくと、しびれや痛みが指先に響きます。手首を直角に曲げて手の甲をあわせしばらくすると、しびれや痛みが悪化します。検査として、エコーを使って神経がどれだけはれているか、出来物などで神経が圧迫されていないかを確認します。また、電気の刺激により神経がどれくらい悪くなっているか測定します。 

治療 

運動や仕事の軽減、手首の固定などによる 局所の安静や、痛み止め、ビタミン剤などの飲み薬、手首への注射などを行い症状の改善をみます。症状が強い場合や親指の筋肉がやせたもの、出来物がある場合などは手術が必要になります。手術は、関節鏡を用いた鏡視下手根管開放術や小皮切による直視下手根管開放術を行っています。手術当日より水仕事以外は手の使用も可能です。親指の筋肉の萎縮が強い場合は、この手術のみでは親指の機能回復が期待で きないことが多く、腱移行による母指対立再建術を同時に行います。  

図)日本手外科学会HP「手外科シリーズ」より引用